世界を牽引した建築雑誌『a+u』の初代名編集長が綴り続けた日記による、近代建築の軌跡。 雑誌『a+u』の初代編集長であった中村敏男が1953年から刊行時点の2015年現在まで書き続けている日記を下敷きとした回想録。 日記には某日の某人が、夜会の席でつけていたネクタイの色まで記されている。私たちは20世紀後半の幾人もの建築家、建築史家たち、そして遺された人々の等身大の動きを知ることができるだろう。
目次 1. 『近代建築』の頃 2. 鹿島出版会の頃 3. 『a+u』の誕生 4. 磯崎特集とカーン特集 5. ニューヨーク・ファイヴ 6. “インスティテュート”(IAUS) 7. ホワイト・アンド・グレイ 8. 『a+u』の写真家たち 9. ガラスの家 10. グロピウス邸からシンドラー邸へ 11. アンビルト・アーキテクトたち 12. ロサンゼルスの建築家たち 13. アルフレッド・ロート教授とチューリッヒ1 14. アルフレッド・ロート教授とチューリッヒ2 15. アルド・ロッシのこと 16. ミラノ・コモ・アスコナ 17. すべての建築がホラインである 18. ウィーンで会った建築家たち 19. ル・コルビュジエをめぐる人々 20. ロンドンの建築家たち 21. アムステルダムの建築家たち 22. ドイツ日記1─マンフレッド・シュパイデルのこと 23. ドイツ日記2─「近代建築」をたずねて 24. プリツカー建築賞の人々 25. 忘れえぬ人々、二人の韓国人建築家 人物註 初出一覧 著者略歴
1931年11月6日、東京・王子に生まれる。姉二人の末っ子。父は典型的銀行員。二浪して早稲田大学第一理工学部建築学科に入学するも、中途退学。先輩たちのつてで『近代建築』編集部に入社、鹿島出版会編集部を経て、1969年、新建築雑誌の創刊に加わり、誌名を『a+u』と命名、1995年まで25年間、取締役、編集長を務める。退社後はもっぱら翻訳書を出版する。ケネス・フランプトン『現代建築史』(2003)、アンソニー・ヴィドラー『歪んだ建築空間』(2006)、ピーター・ブランデル・ジョーンズ『モダニズム建築』(2006)など。編著に『Glass House』(2007)。 日記解読のための巻末人物註500名以上。著者は、この日記そのものを後世に伝えるつもりはないとのこと。本書を刊行するにあたり、その日記が確実に存在したことを以下に記す。 保管場所:中村敏男邸2階書斎机下 A5判:38冊 B6判:14冊 A6判:1冊 合計53冊 マルゼンキャンバス地ほか(2015年1月27日現在) |